2011年7月9日土曜日

[雑記] 名前のないテスターをやって得たもの

わたしのテスター論。

■私のテスター時代
私は「ハケン」でテスターをやっていました。テスターとは、ソフトウェアのテストを実際に行う人物です。
私は最初、テスターの一番下っ端として入り、2年ぐらいで出荷前判定をおこなうぐらいになりました。実際にこのレベルになるまでと言うのはもっと時間がかかるのですが、運が良かったのでしょうね。そんな成り上がりテスターが現場にいたときのお話をちまちま時間があるときに書こうかとおもいます。

■テスターに必要なのは「忍耐」である
テスター以上に目立つ仕事はありません。なぜならば、バグがでたら真っ先に責められるのは開発ではなく、現場のテスターだからです。「なんでここをテストしなかったんだ!!」と怒られるのは担当部署のテスターです。テスターからいわせてもらえば「バグがでるような開発をしているほうがわるいんだろ!!」という気持ちですが、そんなことは言ってはいけません。開発や企画、そのほかの部署が自分のことを棚にあげて自分のミスを押し付けてきても、テスターは反論もせずに頭をさげなくてはいけません。
美徳ではありませんが、これが「最後の砦」の役目なのです。
さらに、テスターはバグが改修されるたびに同じ試験や周辺動作を辛抱強くみなくてはいけません。再現性の低いものならば、何度も・・・それこそ1000回以上同じ試験をしなくてはいけません。ゆえにテスターに一番必要なものは「忍耐」といえます。

■テスターが一目置かれているときは「なにもいわれない」
バグがでると、テスターは責められます。しかし、バグがでずにスムーズに行っているときは責められる事はありません。責められませんが、感謝される事もありません。小さなプロジェクトでは感謝されるかもしれませんが、大きなプロジェクトではスムーズにいっているときはなにもいわれません。
この「なにもいわれない状態」を一番の状態と認識できれば、テスターはやりがいのある仕事です。

■テスターの人間関係(ほかのテスターさん)
テスターでは忍耐が重要ですが、人間関係も重要になってきます。他のテスターさんたちとのバランスをとらなければなりません。
他の人が得意な箇所を見つけ出し、被らないように自分の得意な箇所をみつけなくてはいけません。なぜこのようなバランスが必要か。それは品質のバランスをとるためです。
市場に出るものはバランスよく、バグがでないことが理想です。ある機能で集中的にバグがでてしまうのはテスターのバランスが取れてない証拠です。ですので、テスターは「得意箇所」を連携させなければなりません。

■テスターの人間関係(チームリーダー)
チームリーダーはスケジュールを組む人です。一日あたりのテスト項目をだし、難易度から今日の作業をテスターさんに割り振る。バランスをとってくれる人です。しっかりした人がやってくれるのであれば、このバランスはうまくとれてテストも炎上することなく終わりますが、経験のあさい人や新規プロジェクトでは絶対に破綻します。数値上のスケジュール以上に、テストは「個々の能力」によってばらつきがでてきます。個々の能力を判断して、人をふることができなければ、テストはうまくいきません。テストを円滑にすすめるためにも、テスターは早い段階で他のテスターの能力を割り出して、リーダーにそれとなく伝えることが重要になります。
テスターは、リーダーを真っ先に育てなくてはなりません。

■テスターの人間関係(開発)
開発の人は基本的に身勝手です。自分がバグを生み出しているにもかかわらず、そして日本語がいいかげんな仕様書をあげてくるにもかかわらず、バグや誤記を指摘したら逆切れします。なぜか開発側の人間はテスターを下に見ている事が多いです(もちろんそうでない人も多い)。これ以上に腹の立つ相手はいないのですが、悔しい事にバグがでても直せるのは開発の人間しかいないのです。そのため、いかに気分がよいまますばやく直してくれるか、という開発側のモチベーションを下げない事がテスターの役目になります。バグがでても「バグです。早く修正してください」という事実だけ述べれば、開発は頭に血が上ったようになります。しかし、報告の際に証拠となるログや画面キャプチャ、そして「あなたにおまかせいたします。よろしくおねがいいたします」という一言を添えるだけで、開発はすばやく直してくれます。こちらの怒りは開発に伝わってしまいます。ですので、テスターはなるべく場を和ませるよう、やわらかい言葉をえらぶ必要があります。
余談ですが、開発と一緒の部屋でテストをしている場合だったら、テストケースに少し遊びを交える事でぴりぴりしている部屋の空気を和ませる事も可能です。

■工数について
テストははやくやればよいものではありません。量をこなせばよいわけではありません。工数は決められているので、いかにその時間ぴったりに終わらせるかを計算してやる必要があります。
もちろん、この工数と言うのは書類上だけではなく、現場の人の声やリーダーの表情をよんできめる必要があります。
かかわっている人はみんな「人間」です。早くおわってしまっては困る事情もあります。早く終わらないと困る事情もあります。
そのあたりをいかにそれとなく(さりげなく)ヒアリングすることができるかで、「できるテスター」となるか決まってきます。

■テスターの仕事とは
基本的に気配りの仕事です。周りとのバランスをどうとればいいのか、自分の役割を見極める事ができたら、現場のコントロールを行う事ができます。空気をつくっているのはこうしたテスターの努力なのです。テスターの仕事はいわば、「空気を彩る」というものであったりするのです。
現場の空気を自在にあやつる。これ以上目立つ仕事はほかにありますでしょうか?

0 件のコメント:

コメントを投稿